Dallmeyer Septac 50mm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

レンズ構成:4群7枚

lens constitution 4group 7lenses

Lens Impression

IlfordのカメラWitnessに装着された最も大口径のレンズとして有名なSeptacですが、それ以外にも純正ライカマウント、映画用に活用されたと思われるレンズヘッドのみのものが存在します。この個体は元来レンズヘッドのみでしたが、ズミクロンのヘリコイドを活用し、宮崎さんに加工していただきました。そうそう、ちなみにWitnessに装着されているレンズには、他に同じDallmeyerのSuper-sixとDaronというレンズがありますが、この「DaronはDallmeyerのレンズではありません」から、お間違えないように。これはDallmeyerの元社員に確認しました。

描写はこの個体の経年変化による薄クモリを除けば素晴らしいの一言です。まずは線の細さ。見事です。そして滲み。どこかHektor73mmにも通じるものを感じ、私の最も好きな性格の写りといえます。
宮崎さんの評価によると、@開放で大きくオーバー補正で、コントラスト低下、A解像力は開放から良い、Bフレアはf2で80%なくなり、f2.4でゼロになる。
と記述されており、HektorというよりThambarに近いデータのようですが、どれも私の好みのレンズのポイントばかりでした。

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ダルマイヤー社はレンズ名にガラスの枚数をつける傾向があり、5枚のPentac、6枚のSuper-Six、8枚のOctac、などがあるが、ラテン語の数字7=septemから名付けたのが、セプタックである。その名の通り5群7枚の構成で、前群がゾナー型、後群がダブルガウス型の折衷構成である。日本製のレンズではこの構成は東京光学のシムラー5cmf1.5とその後継のトプコール5cmf1.5が著名である。
 小型カメラ用としては英国Ilford社の最高級レンジファインダー機Witnessに標準レンズとして装着されたことで有名であるが、市場に現れる同レンズはカメラ用マウントがない場合が多く、基本的には映画用として供給されたものが外されて単品で出てきたものと思われる。

 セプタック もシムラーも「前群ゾナー型+後群ガウス型の折衷構成」と言われるレンズである。下表で両者のレンズ構成、曲率、屈折率、分散(Abbe数)を一覧にしてみると、2つのレンズには第3群に顕著な差異があることがわかる。
 まず気づくのは、第3群最前面の曲率の違いであろう。セプタックは向かいの第2群最後面の曲率とほぼ対称的に大きな曲率であるのに対し、シムラーはかなり緩やかな曲率を示している。この部分は、球面収差・コマ収差補正に大きな影響を与える補正要素であるが、ここだけ見ると、セプタックにはコマ収差が残存する可能性があり、シムラーでは球面収差が補正不足になる要因とも考えられる。他の曲面でバランスよく補正できているかが注目される。
 第3群の接合面は、セプタック は全くフラットでオリジナルなプラナー、オピックに近く、シムラーはかなりベンディングされた曲面でこちらはオリジナルのゾナーf2や、クセノン、ビオターなどの後期ダブルガウス型によく見られる形である。シムラーの特許申請が1938年、セプタック が1942年なので、どちらも新種ガラスの設定はないだろう。

 セプタックは第3群貼り合わせの凹レンズに「f2」という古典的なガラスを使用しており、その結果貼り合わせ前後の凹凸レンズの屈折率の差は小さい一方、第3群の凹レンズ前面が-0.33、凸レンズ後面の曲率が-0.43といずれも高くなっている。ペッツバール和の増加を抑えるには凹レンズに屈折率の低いガラスを使用するほうが効果的だが、セプタックの場合それを凹レンズの焦点距離(曲率)にも比較的多く負担させているので、球面収差の悪化を抑えつつ、ペッツバール和の増大に伴う像面の湾曲、非点収差などをどう抑え込めているかが課題となる。
 一方のシムラーの第3群は、貼り合わせの凸レンズの屈折率が高く凹レンズとの屈折率の差も大きいことに加え貼り合わせ曲面のベンディングがセプタックに比べかなり深い形になっており強い収斂性を持たせている。一方で第3群最後部と第4群の曲率は抑えられており、貼り合わせ面のパワーで画面周辺部の像面の補正を行いつつ、他の屈折面で他の収差のバランスを取る。これがどの程度成功しているであろうか。
 シムラーは形式的にはセプタックよりオリジナルのゾナーに近い特性を持つと考えられ、絞り開放付近での結像やボケの印象はセプタックより受け入れやすいかもしれない。

 Photos with Dallmeyer Septac 50mmf1.5
 
2016
Yono Taishojidai matsuri
(与野大正時代祭)
 

毎年恒例にしている与野大正時代祭りに行ってきました。
参加者と直接触れ合える機会の多いこの祭りは格別ですが、作例からもその雰囲気が伝わってくるのではないかと思います。
今回セプタック5cmf1.5は開放f1.5からf4くらいまでの様々な絞り値で使用しましたが、参加者のアップの作例は開放が多いので、特徴的なボケも見ていただけると思います。B/Wで仕上げると、あたかも大正時代に紛れ込んだような錯覚さえ与えてくれるセプタックの力をかんじました。


I went to my favorite annual event 'Yono Taisho jidai Matsuri'.
For me this festival is a special event where I could go into the participants of the festival and interact with them so easily. I hope you can feel such atomosphere from my photos.
I used this Dallmeyer Septac 5cmf1.5 lens at various aperture from f1.5 to f4, you can find characteristic of bokeh on photos of indivisual person. Specially photos in B&W give me a kind of illusion to feel as if I wandered into the Taisho ERA.

2014
Shibamata
(柴又)
  
 

セプタックの最大の特徴は、開放での「非常に線の細い描写と軽やかな滲みの組み合わせ」ですが、絞りこんだ場合のシャープさも特筆すべきレンズです。
今回はまずf8での作例をご覧ください。1枚目、3枚目が全体画像で、その右の2枚目、4枚目が中央部の拡大画像です。電気機関車周辺の描写では、全体ではまったく判別できなかった5人の保線員の姿もはっきり判別できますね。4枚目の屋台周辺も同様です。


The most characteristic of Dallmeyer Septac lens is 'very subtle description and elastic Halo at full aperture'. On the other hand, the sharpness at closed aperture is also highly worthy to mention.
Please refer 2 set of pictures taken at f8. 1st and 3rd photo are original and 2nd and 4th are enlargement of center part.


は、
 
こちらは、開放からf2.8で撮影しています。セプタックの特徴である非常に線の細い描写と軽やかな滲みがよく現れています。

These are taken at f1.5 to f2.8. They shows the typical Septac characteristic of very subtle description and elastic Halo.

 

柴又はなんといっても寅さん。とても強い思いがあるのでしょうか、山本亭でガラスに映った2人の人物を撮影したところ、背景にどうも寅さんが迷い込んできたようです。

There is no doubt to say that Shibamata stands on 'Torasan'. I do not know why but when I took two person reflected on window glass at Yamamoto-tei, I can see Torasan comming into the photo.

2011
Kamakura
(鎌倉)
「セプタックで爛漫の春を感じてきました。」と心底感じられた春の日でした。
桜を中心にあらゆる花が開いています。アジサイで有名なお寺のせいか、こんな景色の週末でも人影はまばらです。
ゆったりとした散歩写真を楽しみました。そのせいか、セプタックの滲みも何となくのびやかです。


It was the spring day when 'I felt the riot of surrounding full bloom of flowers at kamakura'
Almost all flowers of spring season have been blooming simaltaneously with centering cherry blossom. And the temple which is very fanous by hydrangea flowe rwas was very empty even in such .shiny weekend. I could enjoy relaxed photo walk. I even feel even the blur of Septac lens might be free and unconstrained.


2009
Portbello Market
(ポートベロー)

1段目が開放での作例です。2段目、3段目はf4-f8に絞って撮っています。
開放でのハイライトの滲みも上品で好きですが、滲みの中に見えるピント部分の繊細な描写が素晴らしいと思います。Super-Sixよりも描写の癖は非常に少ないようです。ボケも過剰補正による2線ボケが出ているのでしょうが、なぜか他のレンズの2線ボケよりもレンズの味となって現れるようです。同様のイメージはヘクトール73mmもそうですが、Macro-Switarでもよく感じます。


The first row shows examples in full aperture. The 2nd and the 3rd row shows in f4-f8. The blur around the subject in full aperture is elegant and which I like, the delicate description of the focus part seen in the blur is such wonderful.
It seem that there are fewer peculiar description than Super-Six. It seems that the double image(2 line) bokeh from the over correction becomes a taste of a lens than those of other lenses. Such kind of feeling I feel in not only in Hektor 73mm but also in Macro-Switar.

 
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